『最深日本研究』〜外国人博士の目〜 ラーメンを知りたい:ラーメンの魅力と世界的な影響を探る
2024年12月24日、NHK総合で放送された『最深日本研究』では、ケンブリッジ大学の教授であるバラク・クシュナー氏がラーメンの深い魅力を探る特集が放送されました。タイトルは「ラーメンを知りたい」。クシュナー教授は、ラーメンがどのようにして「国民食」から「世界食」へと成長していったのか、その歴史と現代における影響を深く掘り下げています。
第1章:世界に広がるラーメン
クシュナー教授は、サバティカル休暇を利用して2年間日本に滞在し、この間にラーメンについての研究を進めることを決意しました。日本全国を巡り、ラーメンに関する様々な角度からの知識を得るため、ラーメンスクールを訪問。そこで驚いたのは、スクールの受講生の約9割が外国人であることでした。受講生には、南イタリアでラーメン店を開業予定のカップルもおり、ラーメンの魅力がどんどん世界に広がっていることを感じさせられました。スクールの受講料は8日間で50万円で、外国人のニーズに応えるために、肉ではなくキノコや焼き海苔でダシを取る「ビーガンラーメン」なども教えられているとのことです。ラーメンの世界的な広がりと、食文化としての進化を感じる一幕でした。
第2章:ラーメン誕生の歴史
次に、バラク教授が訪れたのはラーメン激戦区・東京の高田馬場。ここでは、同じようなラーメンを提供する店舗が隣接していることに驚き、日本的な特徴を感じたと言います。バラク教授が初めてラーメンに出会ったのは1992年の初来日でした。当時は、日本食に馴染めず、特に刺身などの生魚に戸惑いを感じていたそうですが、歴史学者としての探求心がラーメンへと向かい、そこから深い研究が始まったのです。教授は、ラーメンの歴史を8年間かけて研究し、289ページの本にまとめ上げました。その中で、ラーメンがどのようにして現代の日本食文化において重要な位置を占めるようになったのかを紐解いています。特に2015年に行われた「日本で最も満足した食事調査」では、ラーメンは3位にランクインし、2023年には寿司を抑えて2位に浮上するなど、ラーメンの人気は衰えることがありません。
第3章:ブームの原動力“ご当地ラーメン”
さらに、90年代に日本全国で巻き起こった「ご当地ラーメンブーム」にも焦点を当てました。地域ごとの特色を生かしたラーメンが誕生し、地元民にとってはなくてはならない食文化となり、また観光客にとってもその土地ならではの味を楽しむ重要なポイントとなっています。バラク教授は、ラーメン年間外食消費がトップの山形市を訪れ、地元の特色を生かした「鳥中華」を試食。山形では、ラーメンや蕎麦を年間7000万食以上提供する企業もあり、その成長には大きな驚きがあったといいます。
また、山形大学の小幡准教授から、ラーメンがどのようにして地域おこしに貢献しているのか、その背景を聞くことができました。欧米ではあまり見られない現象で、地域全体がラーメンを通じて活性化している様子は非常に興味深いものでした。バラク教授が最後に訪れたのは、山形のご当地ラーメンブームを仕掛けた人々。彼らの努力によって、ラーメンは地域振興のツールとしても機能しているのです。
今後の研究課題:ラーメンブームの未来
バラク教授は、「世界のラーメンブームがいつまで続くのか?」という問いを今後の研究課題として掲げています。ラーメンは今や、日本だけでなく世界中で愛される料理となりました。その人気が持続可能であるかどうか、そして次のブームを生み出すためにはどうすべきか。ラーメンが今後も世界で広がり続けるためには、どのような変革が必要なのか、教授の研究はますます重要になってきます。
まとめ
この特集を通じて、ラーメンの歴史的背景や世界への影響、日本国内での進化を深く知ることができました。ラーメンは単なる食文化にとどまらず、地域の振興や国際的な交流の一環として、今後も重要な役割を果たすことでしょう。バラク・クシュナー教授の研究を通じて、ラーメンの深い魅力を再発見し、さらにその多様性を楽しむことができる時代に生きていることに、改めて感謝の気持ちを抱かされました。