東京・足立区 いつものファミレスで
NHKドキュメント72時間
今回は東京・足立区にあるファミリーレストラン(ファミレス)が舞台。早朝から深夜まで訪れる人々の暮らしや思いが詰まったこの場所に、カメラが3日間密着しました。日常の中でさまざまな人々が交差するファミレスという空間に、どんなドラマが生まれるのか。そこで出会った人々の声をお届けします。
9月17日(火)
撮影が始まったこの日は、まず2人の女性姉妹と出会いました。彼女たちは近所に実家があり、母親の命日の前日ということもあり、このファミレスを訪れていました。姉妹は「ここで母を思い出しながら、いつものように過ごすのが心地よい」と語ってくれました。
その後、テニススクールの仲間や保険外交員の女性2人組、パン製造の仕事をしている女性など、さまざまな人々がファミレスを訪れました。ドライブ帰りに立ち寄ったカップルもおり、ここでの食事がそれぞれの日常にどんな意味を持っているのかが伝わってきました。
夜になると、浴衣姿の女性たちが登場しました。彼女たちは氏神様の奉納踊りの帰りにファミレスに立ち寄ったとのこと。深夜0時にはファミレスが閉店し、今日も一日が終わりました。
9月18日(水)
翌日、朝7時の開店10分前に訪れると、25年通っているという年配の男性がいました。彼は毎朝、決まった席に座り、同じメニューを注文するのがルーチンになっているそうです。その姿からは長年通い続けたファミレスとの深い絆が感じられました。
その後も、ナイジェリア出身で25年以上日本に住んでいる男性や、週1回一緒に食事をする親子、動物の死骸回収を仕事にしている男性、イタリアンレストランで働く男性など、多くの常連客と出会いました。それぞれが日常の中でファミレスをどのように利用しているのか、話を聞くことができました。
また、ファミレスのデリバリーに同行して、お客さんとの会話を聞くこともでき、ファミレスがどれほど地域の人々にとって身近で大切な場所になっているのかが伝わってきました。
9月19日(木)
この日も、朝から90歳の男性がファミレスに訪れ、いつもの席で朝食を楽しんでいました。彼のルーチンは、まさに「いつもの場所で、いつもの時間に、いつもの食事」を楽しむことでした。長年の習慣が生んだ、この穏やかな日常がとても印象的でした。
夜になると、共働きの家族で週に2、3回ファミレスに訪れるという3人組に出会いました。忙しい毎日を送る中で、ファミレスは家族が集まる大切な時間を提供してくれる場所になっています。
9月20日(金)
最終日のこの日も、女性3人組に話を聞きました。彼女たちは、ファミレスが手軽に食事を楽しめる場所として頻繁に訪れており、仕事や日常の疲れを癒す場所になっていると言います。ファミレスが、忙しい現代人にとってどれだけ心地よい避難所となっているのかを感じることができました。
ファミレスが生み出す温かな交流
「いつものファミレスで」というタイトルの通り、このドキュメントはファミレスという日常的で身近な場所がもたらすさまざまな交流を描いています。家族や友人、そして見知らぬ人々が交わるこの場所は、ただの食事の場ではなく、人生の節目や小さな出来事が絡み合う温かな空間となっていました。
長年通い続ける常連客、仕事の合間に一息つく人々、何気ない日常を楽しむカップルや家族。どんな人たちも、このファミレスという空間に身を置くことで、日々の疲れを癒し、心を落ち着けるひとときを過ごしていることがわかりました。ファミレスの温かな雰囲気と人々のつながりが、私たちにとって大切な場所であることを改めて感じさせてくれるドキュメントでした。