「トロフィー」ってなに?
チコちゃんの答え:敵から奪いとった武器をくくりつけたタワー
スポーツ大会やコンテストで優勝した時にもらえる「トロフィー」。輝かしい勝利の象徴としてお馴染みですが、その起源は意外にも古代の戦場にあったことをご存知でしょうか?
古代ギリシャの戦勝記念碑「トロパイオン」から現代のトロフィーへ
「トロフィー」のルーツは、古代ギリシャ時代に戦争の勝利を祝うために作られた「トロパイオン(Tropaeum)」という記念碑にあります。
【古代ギリシャの戦勝の証「トロパイオン」】 古代ギリシャでは、戦いに勝利した際、敵が退却した地点に、木の柱を立てて敵から奪い取った鎧、盾、兜などの戦利品(武器)をくくりつけてタワーのような記念碑を建てる習慣がありました。これが「トロパイオン」と呼ばれ、勝利の象徴として建てられたのです。これは、神々への感謝と、自国の武勇を示す意味合いがありました。古代ローマ時代のレリーフにも、この「トロパイオン」が描かれています。
【ローマ時代以降の変化】 古代ローマの時代になると、単にその場で記念碑を建てるだけでなく、戦利品を自国に持ち帰り、目立つ場所に設置することもありました。さらに、勝利の記録を後世に伝えるために、神殿や塔のような大規模な建造物が建てられるようにもなりました。しかし、次第に「トロパイオン」をその場に建てる文化は廃れていきました。
【ルネサンスによる復興と現代へのつながり】 一度は姿を消したトロパイオンの文化ですが、ある大きなきっかけで再び注目されるようになります。それが、14世紀から16世紀にかけてヨーロッパで起こったルネサンス(古代ギリシャ・ローマ文化の復興運動)でした。この時代、古代文明の芸術や思想が再評価され、トロパイオンなどの古代の遺物や記録が広く知られるようになりました。
ルネサンスを通じて、古代の勝利の象徴であるトロパイオンの概念が再認識され、やがて勝者に記念品を与える現代の「トロフィー」という習慣へとつながっていったと考えられています。私たちが目にするトロフィーのデザインの中には、古代の武具や勝利の女神を模したものが多いのは、こうした歴史的背景があるからなのですね。