プロフェッショナル 仕事の流儀「餅ばあちゃんの物語 〜菓子職人・桑田ミサオ〜」徹底ガイド
- 放送日時:8月10日(日)9:00–9:45/NHK総合(東京)
- 企画概要:本州最北、津軽半島の原風景を舞台に、年間5万個のササ餅を一人で作り続ける93歳の菓子職人・桑田ミサオさんを見つめる。語りは橋本さとし、貫地谷しほり。2020年の名回を選で届ける構成。
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餅ばあちゃんは誰?どこで作る?
- 氏名・肩書:桑田ミサオ(くわた みさお)/「笹餅屋」代表
- 活動拠点:青森県津軽半島(五所川原エリア)
- スタイル:採葉から炊き上げ、成形、包み、二度蒸し、出荷準備まで全工程を一人で担う“ひとり仕事”
- 年間生産:ササ餅 約5万個(目安:1日120〜200個ペースでの積み上げ)
「十本の指は黄金の山」という母の言葉を胸に、手間を惜しまないものづくりを貫く。その姿勢が“餅ばあちゃん”の愛称を生む。
ササ餅とは?桑田流のこだわり
- 定義:ササの葉で包む津軽の郷土菓子。桑田流は「もち粉+小麦粉」の配合で、もちもち・ぷるぷるの独特食感を生む。
- 葉の調達:夏に山へ入り、1年分を採葉。形を整えて冷凍保存し、通年で鮮やかな緑を保つ。
- 小豆・米・水:地元の小豆と米、湧き水を用いる。米は最小目盛で二度挽きにしてきめ細かさを確保。小豆は時間をかけて炊き上げ、甘さは控えめ。
- 二度蒸し:成形後にササ葉で包み、仕上げに短時間の二度蒸し。殺菌と色止めを同時に狙い、葉の瑞々しい緑と香りを際立たせる。
ポイントは“足すより、丁寧に引き出す”。添加物・保存料に頼らず、素材と工程の管理で味と日持ちを両立する。
一日の段取りと道具
- 起床・仕込み:早朝に起床→6時頃から仕込み。忙期はさらに前倒し。
- 蒸し工程:7時台から一釜目、続けて二釜目。蒸し時間は一釜およそ1時間。
- 成形・包み:蒸し上がりの合間に袋詰め資材や日付準備→成形→ササ葉包み。
- 仕上げ:二度蒸し→粗熱取り→出荷準備。
- 主な道具:せいろ・蒸し器、計量器、餅切りベラ、ハサミ(葉の整形)、冷凍庫(葉の保管)。
“蒸しの管理”と“葉の状態管理”が味の要。火の加減、湿度、葉の水分が仕上がりを左右する。
どこで買える?出会い方のヒント
- 地元スーパー:五所川原周辺のスーパーで金・土の店頭販売が入ることが多い。午前中に完売しやすいので早めが安心。
- 地域イベント・施設:町のイベント、高齢者施設などからの注文が入ることがある。催事情報のチェックが近道。
- 津軽鉄道「ストーブ列車」:冬季観光列車の車内販売で“歌いながら売るおばあちゃん”として知られる回もある。運行情報と車内販売企画の有無を事前確認。
- 取り寄せ:定期的な通信販売の案内は基本なし。冷凍葉・無添加仕立てのため“作りたて”を地元で受け取る価値が高い。
訪問前に「五所川原市観光協会」「津軽鉄道」公式や、地域スーパーのチラシ・SNSを確認すると遭遇率が上がる。
受賞・評価と歩み(要点)
- 受賞歴:農林水産大臣賞、総務大臣賞、五所川原市表彰などの受章歴が知られる。
- 事業:定年後、75歳で「笹餅屋」を立ち上げ。無人直売の成功からスーパー卸へ拡大。地域の味として定着。
- メディア:津軽鉄道の冬季観光「ストーブ列車」車内販売が話題になり、全国的に注目が高まる。
“歳だから無理”ではなく“できる形で続ける”。継続が地域経済と食文化の力になるというロールモデルを示す。
視聴のツボ(プロフェッショナル的“芯”)
- 採葉のシーン:葉脈の厚み・色・艶をどう見極めるかに注目。
- 蒸しと二度蒸し:時間と温度の“引き算”が色と香りを決める。蒸気の抜き加減、蓋の扱いに注目。
- 手の動き:成形時の指先の圧、包むスピード。“十本の指は黄金の山”がそのまま映る瞬間。
- 言葉:家族や地域への感謝、続ける理由。“ありがたさ”を軸に置く価値観が仕事観につながる。
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行ってみたい人へ(旅の実用)
- アクセス:JR五所川原駅または津軽鉄道「津軽五所川原」から金木・津軽中里方面へ。津軽鉄道は冬季にストーブ列車を運行。
- ベストシーズン:通年で出会いがあるが、夏は採葉・仕込みの背景、冬はストーブ列車の情緒が際立つ。
- 持ち帰りのコツ:常温短時間持ち帰りが基本。長距離の場合は保冷バッグを推奨。葉の香りを損ねないよう密閉しすぎない。
なぜいま、この物語が刺さる?
- 省力化・効率化がすべてではない“手の価値”を可視化する。
- ローカル食の継承と小規模事業の自立という、地域のリアルな課題に向き合う。
- 93歳でなお現役という“働く歓び”。年齢の常識を塗り替える視点が、世代を超えて勇気になる。
まとめ
ササの香り、蒸気の音、指先の記憶。桑田ミサオさんのササ餅は、土地と季節と人の手が重なって生まれる“津軽の時間”そのもの。プロフェッショナルが映すのは、技と段取りの美しさだけでなく、“感謝で生きる”という生き方の設計図。放送を見終えるころ、あなたの台所と心にも、少しやさしい湯気が立ちのぼるはず。